腹膜とは胃くんや腸くんなどを包むようなつくりをしている、腹壁の内側を覆っている薄い漿膜をさします。
なんと広げると畳一畳くらいある大きさです。
腹部におさまることができている理由は、腹膜が折り返して重なっているようなつくりをしているからです。
全体はなんだかカーテンみたいです。そんな腹膜ですが、その包まれ方によって臓器くんがどう呼ばれるかの位置付けが異なります。
腹膜の外側を”壁側腹膜”といい、内側を”臓側腹膜”とよびます。
ここで各用語と定義を整理しておきましょう〜
包まれ方によって臓器くんは呼び方が異なります。
腹膜で丸ごと包まれている臓器:腹膜内臓器
部分的に腹膜に包まれている臓器:半腹膜内臓器
腹膜より後ろ側の後腹腔に位置する臓器:後腹膜臓器
後腹膜臓器は”腹膜外臓器”ともよばれます。
異なる表記ですが同じ意味をさします。
腹膜内臓器は”間膜”という重なる腹膜のつくりを持つのが特徴です。
この間膜があり、膜の中のすきまには少量の漿液(=腹水)があることで内臓がよく動くようにできています。
腹膜内臓器は、胃くんや腸くん(小腸の部分)に代表されます。
胃の間膜は特徴的で、大網(だいもう)と小網(しょうもう)という名称です。
エプロンみたいに垂れ下がるようなつくり。
後腹膜臓器は、壁側腹膜より背中側に位置する臓器をさします。
代表される臓器は、腎臓、副腎、十二指腸、膵臓、尿管など。
上の図には記載していませんが、腹大動脈や下大静脈といった血管も含まれます。
この図では赤丸で囲まれているところが後腹膜臓器!腹膜外臓器ともよばれる!
地味に、十二指腸がちらっとしていますね。わかりにくいなあ。
これらは、主に背中側に位置する臓器や器官になります。
間膜をもたないため”動きにくい”つくりになっています。
引用・参考文献
南川 雅子(2019):「成人看護学[5] 消化器 (系統看護学講座 専門分野)」,第15版,医学書院
坂井 建雄(2018):「プロメテウス解剖学 コアアトラス」,第3版,医学書院
坂井 建雄(2018):「人体の構造と機能[1]解剖生理学」,第10版,医学書院
坂井 建雄ら(2010):「ぜんぶわかる人体解剖図-系統別・部位別にわかりやすくビジュアル解説」,第10版,医学書院